すみれ幼稚園園長便り

お月見
 お月見の9月15日が過ぎて16日のことです。つぼみ組の2歳児Mちゃんが粘土をまるめて「お月見のお団子!」とつぶやいているのを聞いて保育者Kが問いかけました。「夕べお月さま見た?」Mちゃん「見たー」すると隣にいたKくんが「僕みたよ、お団子をかざって、ベランダで見た」と答えました。この会話を聞いていた私は、Kくんがご家族と一緒にベランダに出てお月さまを眺め楽しむひとときを思い、なんとゆとりのある幸せなご家庭なのだろうと心が温かくなりました。中秋の名月を愛でるという日本人の感性は、このようにして幼い頃から家庭の中で育まれていることにあらためて気がつきました。幼稚園でも、型通りのお月見遊びでなく、子どもたちと心から満月を喜び楽しむ経験を持ちたいと思います。
 9月30日をもちまして園長職を退くことになりました。在任中のご厚情に対しまして厚くお礼申し上げます。なお後任の園長には現副園長の出田和子が就任いたします。今後とも一層のご厚誼を賜りますようお願い申し上げます。

理事長 藤田芙美子


ご挨拶
 このたび、園長を拝命しその責任の重さをひしと感じております。誠に微力では ございますが、お子様方のよりすこやかな成長に努力いたす所存でございますので なにとぞご支援を賜りますようお願い申し上げます。
園長 出田和子

(すみれ便り28年10月号より)



すみれ幼稚園園長便り・バックナンバー


[ページの先頭へ]
9月号

子どもが歌うとき
 7月、年長クラスの子どもたちとお泊り保育に出かけました。当日のお天気は、予報では雨。心配しながら迎えたその日は予報を覆して晴れ。子どもたちは,お父さま、お母さまに盛大に見送られて商工会議所前から元気に出発いたしました。しかし、せっかく晴れたのもつかの間で、急に雲が出てきて雨がパラパラッとバスの窓を打ちます。そうかと思うと、またすぐに陽がさしてくるという変わりやすいお天気でした。そんな中、子どもたちが歌い始めました。「雨があがったよ/お日様がでてきたよ/青い空の向こうには/虹がかかったよ♪」一生懸命に、そして歌の最後まできちんと歌います。素晴らしい歌声です。移り変わるお天気にこの歌詞を連想し、それに加えて晴れてほしいという子どもたちの願いがぴったり重なったのでしょう。
 お泊り保育の二日間を通して、雨があがる度に子どもたちの口をついてこの歌が繰り返し歌われました。そしてお天気も子どもたちの気持ちに答えてくれたかのように、お日様が顔を出し、子どもたちは、お散歩やお庭でのサッカーを楽しむことができました。
 子どもたちがメロディーよりも、言葉を手掛かりに歌を歌うことについては、これまでに気がついてはいましたが、その場の状況にぴったりと共鳴して歌いだす子どもたちを目の当たりにして「子どもは自分の気持ちを言葉に込めて歌っている、だからこそ、子どもの歌声は人々の心を動かす」ことを再認識いたしました。

[ページの先頭へ]
7月号

少人数グループによる活動
 すみれ幼稚園では昨年来、自由保育の一層の充実を目指して保育研究を重ねてきました。その結果、子どもたちが安全に、自由で心地よい園生活を送るという自由保育の高みを目指すためには、次のような事柄が要件であることがわかってきました。@子どもたちに、身近な自然、文化、社会を体験し深く探索する機会を与え、導くことのできる教員の育成 A子どもも大人も心地よく過ごすことができる保育環境と空間づくり B少人数グループによる活動の導入 C異年齢混合の保育等です。
 3月の春休みには、本園の教職員4名が、本園と同じように子ども主導型の保育をおこなっているイタリア、ピストイア市の幼児教育の研修に出かけました。この研修は上記の要件を満たすために幼稚園は何をおこなえばよいかについて大きな示唆を与えるものでした。
 参加した教員はそれぞれに感じ、会得した保育の実践を始めています。年長クラスでは、少人数グループによる活動を、決められたホームルームだけでなく、ホールや園庭を使って展開し、それぞれのグループが安定した楽しい毎日を送っています。年中クラスではクラスの壁を取り払って子どもも先生も行き来する活動がはじまり、年少そら組クラスは、年中チューリップ組と混じってそれは穏やかで楽しい活動を見せました。
 6月27日、28日は上記@とBCの要件を満たす活動をおこないます。子どもたちをクラス担任だけでなく幼稚園の先生みんなで育てようという実践がはじまっています。

[ページの先頭へ]
6月号

シロツメ草
 穏やかに晴れた5月晴れの一日、全園児が揃って野川公園に遠足に出かけました。もとは基督教大学のゴルフ場だったというこの公園は、境界を見渡すことができないほどに広々としていて、その広さだけで心が開放されます。この日は格別の晴天であったことから、新緑の樹々と広い野原の緑が明るい5月の光に映えて、それは美しく、いつまでもここにのんびりしていたいと思わせられる心地よさでした。
 子どもたちは広い空間に放たれて、野原を全力で走ったり、小山を転げ降りたり、運動力を全開する一方で、青い梅の実を見つけて山ほど拾ったり、草原の中を走る蟻や虫を目ざとく見つけて捕まえたり、自然探索にも興味津々でした。
 私は、普段はどこにでもあると特別に目を留めていなかったシロツメ草が、いまが盛りとばかりに美しく咲いているのに気がつき、大きく伸びやかに咲いている花を選んで摘み始めました。そこに年中クラスの女児Yちゃんがやってきて、私と並んで摘み始めました。花を摘みながら私たちはいろんなことに気が付き話し合いました。マメ科のような花を沢山つけたシロツメ草はよく見るとほんのりとピンク色をしていてとてもきれいなこと、陽の当たる場所に群生しているシロツメ草は、小花を沢山つけて美しく咲き、茎もしっかりと長く育っていること、摘み取った花を花束にするととても素敵で、家に持ち帰って食卓に飾りたくなったことなどなど。そこに、年中クラスの男児1名と女児3名もやってきて、みんなで、けなげに咲くシロツメ草の美しさを再発見しました。小さな自然の営みに目を留め、心を寄せる子どもたちと共に発見し語り合う本当に楽しいひと時でした。持ち帰ったシロツメ草の花は、ガラスのコップに入れて食卓に置きましたが、5日間もの間、美しく咲き続けて目を楽しませてくれました。

[ページの先頭へ]
5月号

 園庭では、明るい陽射しのなか爽やかな風をうけ鯉のぼりが泳ぎ、足元にはすみれ、スズラン等も咲き、淡紫の美しい藤も砂場であそぶ子どもたちを見守ります。
 4月の始業式には、年中・年長の子どもたちに新しい環境への不安を和らげる想いをこめ、「どのお部屋で遊んでもよいです。どの先生も皆さんのことが大好きです。そしてよく知っているから大丈夫ですよ。」と話しましたところどの子も私をくいいるように見つめていました。
 早くも、1か月が過ぎ新しい環境のなか、歳児によりその姿は異なりますが、それぞれの想いをかかえながらも好きな遊びを通し、それぞれのペースで新しい園生活に慣れ親しもうとする姿やその適応力には驚かされます。この自由に遊べる空間のなかで、まず先生との信頼関係を深め、安心して元気に楽しく遊べるよう、教師は保育環境を整え、子どもの小さな変化をも取りこぼしないよう細やかに配慮してゆきたいと思います。
 なお、先日のクラス懇談会では行事等の係りをお引き受けいただきましてありがとうございました。この一年が子どもたちにとりましてより充実したものとなりますよう、皆様のお力添えをよろしくお願いいたします。(副園長 出田和子)

[ページの先頭へ]
4月号

 花吹雪の季節の到来とともに新学期が始まりました。新入園児の皆さまご入園おめでとうございます。在園児の皆さまご進級おめでとうございます。
 幼稚園の創設者フレーベルは「子どもは自ら成長する力をもって生まれる。大人の役割は自らの力で伸びようとする子どもを助けることであり、そのような子どもに何かを教え込むことはむしろ有害である」と言いました。すみれ幼稚園は、子どもが自ら成長するのを妨げないで育てる保育を心がけています。
 この春休みに教職員4名がイタリア、ピストイア市の幼児教育を学ぶ研修に出かけました。「子どもはいつも自然、文化、社会と関わっている。幼稚園の先生は、幼稚園という場所にとどまるのでなく、広い世界に向けて子どもたちに、それぞれとの関わり方の経験を与えなければならない」という教育目標を全教員が分かち合っていて、お互いに協力し、協同し、そして一人一人がこの目標に向けてアクティブな教育アプローチを展開している姿に感銘を受けました。大人も使える本物の道具、大人が見ても美しい画材や教材、部屋のしつらえにその心意気を感じました。

[ページの先頭へ]
3月号

 寒気の厳しい1月30日(土)、大蔵流宗家の大蔵彌太郎さんをお迎えして、すみれ幼稚園「親子で楽しむ観劇会―狂言で遊ぼう」を開催いたしました。
 昨年暮れにホールの下見に来られた彌太郎さんは、舞台の位置などを決められたあと、次のことを本番前までに子どもたちに伝えておいてほしいと云われました。「狂言は神様に奉じるものであり、古来神聖な松の木の前で奉納されてきた。今回の舞台の背景になる松の木は、ぜひ子どもたちに描いてもらいたい」と。子どもたちが描く松の木はとても楽しみだし、その松の木によって演じる自分がインスパイアされるに違いないと楽しそうに話されました。
 本番二週間前、年長組が中心になっての松の木の制作が始まりました。最初の週はグループごとに松の枝と葉を共同制作、次の週には、ホールの床に広げられた大きな模造紙に松の木を描くことになりました。まず、Yくんが黒い墨をたっぷり含んだ絵筆を持って、松の太い幹と枝をフリーハンドで描き、そこに男児数名が絵の具で色を塗り、あっという間にそれは立派な松の木の幹と枝を描き上げました。
 制作の一部始終を見ていた私は、子どもたちがお手本もなく下書きもないのに、互いにイメージを共有し見事な構図で、しかも協同して松の木を描き上げる力にただただ驚くばかりでした。
 公演当日は、松の木制作に携わった年長児たちとその家族がこぞって出席。子どもも大人も彌太郎さんのメリハリのある口跡と凛々しく美しい所作に心を奪われました。彌太郎さんが、狂言には「ずかずか」という擬音が出てくるが、何の音だと思う?と問いかけたのに対し、年長の男児Oくんが「木を切る音」と直ちに答え、「びょうびょう」は?に小学校2年生の女児が「犬の鳴き声」と正解したのに会場の大人たちはびっくり。古い時代の言葉や擬音を直感的に理解し、伝統芸能の楽しさに共感する子どもたちの姿を目の当たりにする心暖まるひと時を過ごしました。

[ページの先頭へ]
2月号

 毎年2月になると、年長児クラスの子どもたちと幼稚園の先生たちは胸がキュンとなり、何かと落ち着かなくなります。そう、卒園の日が近づいているからです。子どもたちも先生も、その寂しさを振りきるかのように小学校の生活に向けて準備します。子どもたちは「人の話をきちんと聞く」「自分の身の回りのことは自分でする」という先生とのお約束をしっかり守るようになる一方で、残る幼稚園生活の時間を惜しむかのようにお友だちと熱中してダイナミックに遊びを繰り広げます。
 そんな中、身の丈も伸び逞しくなってきた男児4,5名が、私を見つけると必ずお相撲を仕掛けてきます。はじめは一人、次いで二人、三人と束になって組みついてきます。私はこのクラスの子どもたちがまだ年中クラスだった頃から、冬の寒い日に、何度もお相撲ごっこをしました。その頃、子どもたちは私にあっさりと転がされていましたが、先生と力いっぱい取り組むお相撲はとても嬉しく楽しいことだったようです。以来、私は子どもたちの力試しの良い相手と思われてきました。しかし最近では、どんどん成長し、力も強くなった子どもたちを転がすことは、なかなか難しくなり、うっかりすると押し出されたり、力負けするようになってきました。いきなり飛びついてくる子ども、しがみついたらなかなか離れない子どもと取り組みながら、勝ち負けよりもお互いの心のふれあいを愛おしむこの頃です。

[ページの先頭へ]
1月号

 明けましておめでとうございます。皆々様お健やかに良いお正月をお迎えのことと存じます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
 昨年暮れに、名古屋芸術大学名誉教授の心理学者、星三和子先生をお招きして当園の教職員のための研修会をいたしました。星先生を講師に是非と思い立ちましたのは、保育に関する季刊誌「幼児の教育」2015年秋号に、日本の保育現場に大切なことは「長く自由な遊び時間」と「落ち着きのある美的な保育室」を用意すること、と書いておられるのを読み、すみれ幼稚園に今必要なことをお話しいただけると直観したからでした。
 星先生は、長年にわたってフランスの幼児教育を研究してこられましたが、8年ほど前からは、イタリア、ピストイア市の乳幼児教育の取り組みに関心を寄せられて現地調査に着手、その研究成果を保育学会等で毎年発表なさっています。研修日当日は、ピストイア市内の保育園、幼稚園での保育実践を映像で示しながらわかりやすく説明してくださいましたが、まずは教職員一同イタリアの保育施設すべてに行きわたっている色彩感覚の良さ、美しさに魅了されました。一方、ピストイア市の乳幼児教育の基本理念である「子どもを暖かく迎えるという基本の上に、探求心、好奇心をもち、自分の行動を決めることができると同時に協調性をもった子どもに育てる」は、すみれ幼稚園の教育目標と重なるものであり、保育の日常の細部にわたっても共感することが多く見出されました。ピストイア市の提唱する教育理念「子どもの美的感覚を豊かにする」「子どもの情緒的な心地よさ、心の安定をもたらす環境を用意する」は、現地でその実際を学びたい事柄と思いました。ピストイアの教育とすみれ幼稚園の教育の交流が始まろうとしています。

[ページの先頭へ]
平成27年

12月号

 園庭の柚子の実が黄色く色づいてきました。子どもたちは、毎日柚子の木を見上げて、柚子湯を飲む日を待ちわびています。
 さて、すみれ便り7月号で、すみれ幼稚園に「縦割り保育」を導入することの可能性について検討を始めていると述べましたが、その後の「縦割り保育」の試みとその成果についてご報告したいと思います。これまでに、年長組と年中組が共同する活動「自然の素材を使って工作しよう」を5月21日、22日、25日に、「星空を作ろう」を7月10日に実施、次いで10月21日、22日、23日には、年長児と年中児が混合するパンジー組、チューリップ組、スイートピー組を編成して一日を過ごす保育をおこないました。「縦割り保育」では、西公園への園外保育、昼食や自由活動などのさまざまな場面で、年長児が年中児をいたわり優しく指導し、年中児が年長児の行動をしっかり見つめて学ぼうとする様子が豊富にみられました。私も混合クラスで昼食を共にしましたが、クラス全体がいつもにも増して優しい雰囲気に包まれていると感じました。この経験を通して私たち教員は「縦割り保育」が「年齢別保育」よりも、より自然な子ども集団ではないかと考えるようになっています。次の試みとして、@異年齢混合クラス編成とA年齢別のグループ活動の二重構造で保育をおこなう可能性についてさらに検討を加えたいと考えています。
 次回の異年齢混合のクラス編成による保育の試みは、12月1日、2日、3日に予定しています。この期間は、混合保育担当の担任からその日の保育活動についてご報告をいたしますので、降園時には、それぞれのお子様が所属する混合クラスの所定場所にお集まりください。

[ページの先頭へ]
11月号

 先日、植木屋さんが入り、園の庭木をきれいに刈り込みました。その際に、柘榴の木に熟していた実を二つ残してくれました。秋晴れの空をバックに見上げる赤い柘榴の実は絵のように美しく見えました。
 今年の運動会は例年にも増して和やかで楽しい会になりました。初めて挑戦したすみれ囃子も、子どもたち、ご家族の皆様、教員たち全員参加で楽しむことができました。先日、運動会でのお囃子の経験が、さらなる子どもたちの音楽的演奏につながる光景を目にする機会がありました。
 ホールには今も大太鼓と締め太鼓があり、いつでも子どもたちが叩ける状態にしていますが、ある日、年中組の男児Nくんが大太鼓で締め太鼓のリズム てん/てて・つく・すて・つく/てん・つく・つ(下線の部分を打つ)を熱心に叩き始めました。お囃子を練習する以前の、でたらめ打ちとは全く様子が違う、耳を傾けたくなる太鼓の響きです。そこに友だちのMくんがやってきて締め太鼓を打ち始めました。Mくんは、てん/てて・つく・す・つく/てん・つく・つ の「」の箇所を相手のリズムを聴きながら絶妙な間合いで打ちます。そこにKくんがやってきてもう一つの締め太鼓でNくんと同じリズムを打ち始めました。子どもたちのノリのいい演奏に刺激された担任の室井先生が踊りはじめますと、年長組のAちゃんが手ぶりも美しく踊りに続きました。
 ホールの片隅にいた私は、この見事な合奏にしばし釘づけになりました。子どもたちは、日本語の音節を唱えることによって太鼓のリズム打ちを習得したことにとどまらず、今度は新しい複合リズムを工夫し作り出すことに成功していました。言葉のフレーズを唱えることによってお互いの呼吸を合わせて演じ、踊る日本音楽本来の楽しさをはやくも身に付けたようです。

[ページの先頭へ]
10月号

 青空がどこまでも高く見える晴れやかな秋になりました。10月10日は運動会です。すみれ幼稚園では毎年運動会で全園児が参加する遊戯やダンスを行ってきましたが、今年は地元の武蔵野囃子に取材してお囃子と踊りに挑戦することになりました。
 この企画が決まったのが先月も半ば、丁度八幡様のお祭りの頃です。一カ月足らずで子どもたちに指導することができるのか、日本の音楽に馴染みのない教員たちに不安の表情が浮かびました。この不安を吹き飛ばしたのは子どもたちでした。
 年長児たちは、口唱歌 てん/てて・つく・すて・つく/てん・つく・つ(下線の部分を打つ)を覚えると難なく締め太鼓の奏法を習得しました。大太鼓の口唱歌は てん/てて・どど・すて・/てん・どんどん です。大太鼓のリズムは難しいので、子どもたちの傍らで、まずは私が大太鼓の練習を始めました。するとKくんが、おずおずと近づいてきました。大太鼓に挑戦したいという気持ちがあふれています。はじめはリズムが取れませんでしたが、口唱歌を一緒に唱えるうちに、どんどん打てるようになりました。両膝を少し曲げて太鼓の中心を打つようにとアドバイスするとすぐにそれを取り入れてしっかりとした音で打てるようになりました。そこに今度はTくんが興味を示してやってきました。Tくんも同様にどんどん上達。そして・・・そばに付き添ったKくんはTくんに「膝を曲げるといいよ」とアドバイスをしたのです。大太鼓のリズムを習得した二人は心から嬉しそうに微笑みを交わしました。
 この二人は、大人が本気で太鼓に挑戦している姿に心を寄せ、自分もやってみたいと思い、自ら挑戦し、学び、それを友だちとも伝えあって技を習得してゆきました。それは日本の芸能の伝承のあり方そのものでした。運動会ではご家族の皆様にもお囃子と踊りを楽しんでいただきたいと思います。お子様からぜひ口唱歌を教わってください。

[ページの先頭へ]
9月号

 夏休み前の7月12日、13日、年長クラスの子どもたち32名が富士山麓にあるすみれ山荘にお泊り保育に出かけました。
 涼風がわたる山荘に着くやいなや、子どもたちは外に飛び出し、ホタルブクロの花や野イチゴを摘んだり、トンボやチョウチョウを追いかけたり、昆虫を探すのに夢中になりました。
 そのような中、M児が「ちょっと来て!」と、私の手を引っ張って山荘の前にある草むらに連れて行きました。草むらにかがんで、目を凝らして見ますと、8cmほどの実生のモミの木が凛と立っています。M児はとりわけこの木の姿が気に入ったようで「僕のクリスマスツリー!」といいます。お家に持って帰って育てようということになり、そっと根っこから引き抜きました。急いで山荘に戻ったMくんは、紙皿の縁をテープで折り曲げて植木鉢のようなものを作りあげて持ってきました。Mくんは、私が水を入れたコップに木を挿し玄関に置いているのを見て「ダメ!土を探しに行こう。腐葉土がいい」と言い、再び私の手を引いて草むらに行きました。私が「針葉樹まじりの土でなく、いろいろな葉が混じった腐葉土の方がいい」と言いますと、いかにも具合のいい腐葉土を探し出して、手づくりの鉢に手際よくそれを盛り、モミの木を植え込みました。そして翌日、M児はこの苗を大事に東京の家まで持ち帰りました。
 自分の意志でモミの木を見つけ、対象の本質を見極め、これを育てるためにさまざまな工夫をするM児と行動を共にして、私はM児が確実に自分の意思で行動し、自分を育てていることを知り、本当に頼もしく嬉しく思いました。自分に自信をもった一人前の人間と過ごしたと感じる楽しいひと時でした。

[ページの先頭へ]
7月号

 梅雨空の中、紫陽花の青、くちなしの花の白にひと時心を洗われるこの頃です。
 今年4月から、新任の先生5名が教員スタッフに加わったことから、新しいメンバーに、すみれ幼稚園伝統の自由保育を伝えると同時に、新旧教員が協同してより質の高い保育のあり方を探求しようという機運が高まってきました。まずは、すみれ幼稚園の現在の施設の中で、子どもたち一人一人が自由な発想や活動を十分に展開する、より望ましい保育形態から考え直そうということになり、「縦割り保育」の導入の可能性についての検討が始まりました。
 「縦割り保育」とは、年齢の異なる子どもたちがクラスやグループを構成しておこなう保育です。@年齢混合のクラスを編成するA年齢別のクラス編成をするが、クラスの壁を取り払い、異年齢の子どもが交わり活動する場を構成設定する。あるいは@Aの混合型などがあります。
 すみれ幼稚園の場合、とりあえずは現行の年齢別クラス編成に、何らかの「縦割り」の要素を加えるAのケースが、これまで以上に、子ども同士の、そして子どもと先生による学びを深めることになるのではないかと考え、年長組と年中組が交わり活動するモデル場面を考案設定して試行することになりました。第1回目の試みとして「自然の素材を使って工作しよう」の場面設定が、5月21日〜25日の3日間にわたっておこなわれましたが、異年齢の子どもたちがそれぞれのイメージを共有しながら共同で、継続して制作に打ち込む姿を見ることができました。第2回目は7月10日に「星空を作ろう」の場面設定をおこなう予定です。「縦割り保育」についての話し合いから、教員たちの熱心で活発な意見交換にもとづいた保育実践が始まろうとしています。

[ページの先頭へ]
6月号

 薫風かおる5月15日、今年も全園児が揃って野川公園に遠足に出かけました。その翌週、年中チューリップ組担任の島崎先生が子どもたちに語りかけました。「遠足は楽しかった?」子どもたち「楽しかった!」島崎先生「遠足ではいろんなことをして遊びましたね。ひろ〜い野原を駆けまわったり、小さなお山を登ったり下ったり。そうそうお山のてっぺんから寝転んでごろごろと転がったのは楽しかったわね」。続いて子どもたちは「大きな梅の実をたくさん拾ったのが楽しかった!」「松ぼっくりも拾った!」「ありんこもいっぱいいた」「れんげの花をいっぱい摘んで冠を作った!」「緑がいっぱいだった!」「お日様が輝いていた!」「みんなでお弁当を食べた!」「ジャングルジムに登った!」と楽しかった思い出話が次から次へと・・・。島崎先生は「では、それぞれが一番楽しかったと思うことを絵に描いてみましょう」と、画用紙を用意し、子どもたちはそれぞれのクレヨンを取り出して描き始めました。どの子どもも楽しかったことを思い出し、目を輝かしながらぐんぐん描きます。制作の途中、島崎先生は「楽しかったこと、た〜くさんあったから、ぜ〜んぶ描きたくなっちゃうと思うんだけど、その中の一つでいいから教えてね!」と声を掛けました。あっという間に描き上げられた絵は、どれも明るくカラフルな色彩で、子どもたち一人一人の楽しかった思い出(イメージ)があふれんばかりの素晴らしい作品となりました。
 私は、子どもたちが、楽しさの心象を的確に絵で表現する力を持っていることに驚くと同時に、一人一人の子どもの心の動きをしっかり捉えて、それぞれの子どもに即したヒントを与え励ます島崎先生の豊かな感性に裏付けられた指導ぶりに、すごい!と拍手を送りたくなりました。子どもの心に寄り添った指導とはこういう指導をいうのだと思います。この絵はチューリップ組の保育室に展示中です。ぜひご覧ください。

[ページの先頭へ]
5月号

 新緑の季節、私は、毎朝幼稚園の門をくぐる度に、欅の木を見上げ、どんどん若い芽を吹く力に驚き、煙るような紫色を日に日に濃くする藤棚を遠くに見て、その美しさにうっとりします。
 そんなある日、子どもたちは園庭に出て、思い思いに遊んでいました。砂場で泥団子を作る子ども、藤の木によじ登る子ども、缶ぽっくりで歩き回る子ども。初夏の暖かい陽ざしを浴びてみんな嬉しそうです。私も泥団子作りに加わっていましたが、手洗い場の近くで、つつじの花で色水を作っている年中組のM児に出会いました。
 私がM児と初めて遊んだのは、彼がまだ2歳の頃、つぼみ組の遠足で井の頭公園に出かけたときでした。M児と私は、低い生垣で四角く区切られた小さな庭をぐるぐる走って鬼ごっこを飽きることなく楽しみました。それから1年たってM児が年少組になったとき、滑り台の上にいたM児が私を見つけて、懐かしそうに手を振ってくれました。3歳の子どもが2歳の時に一度だけ一緒に遊んだ私のことを覚えてくれていたことに、私は驚き心を動かされました。そしてまた一年たったこの日、私は、しばらくぶりにM児と近しく出会った嬉しさを誰かに話したくなって、傍らに居た担任に「Mちゃんと私は3年前、つぼみ組の時からのお友だちなの」と話しかけました。それを聞いていたM児は嬉しそうに「そして今もお友だち!」と言ったのです。2歳の頃に私と全力で遊んだ楽しさをM児は今も記憶に留めていてくれたのです。心が触れ合うとは、子ども同士、子どもと大人が本気で付き合い、楽しさを共有することであることを、あらためて実感して、この日、私は一日中、暖かい幸せな気持ちでいっぱいになりました。

[ページの先頭へ]
4月号

 花吹雪の季節の到来とともに新学期が始まりました。新入園児の皆さまご入園おめでとうございます。 在園児の皆さまご進級おめでとうございます。
 先日行いました卒園式の日に、晴れて卒園を迎えた年長児たちと次のような対話をいたしました。 私「すみれ幼稚園の生活は楽しかったでしょうか?」卒園生「楽しかった!」 「幼稚園の生活は自由でしたか?」卒園生「自由でした」私「では、皆さんがすみれ幼稚園で、 どうして自由で楽しい生活ができたのか?について、少し考えてみましょう」。
 皆さんがサッカーを始めたのは、今から3年前、年少の頃でしたね。 初めは一人でボールを蹴ったり転がしたりして遊びました。 次にだんだん一緒に遊ぶ仲間ができて、パスをしたり、ドリブルをしたり。 年中になると園庭にネットを出してゴールキックを競い合いました。 年長になると、子どもたち同士でそれぞれの力量を配慮したチーム分けをおこない、 レフェリーも決めて本格的なチームプレイを楽しむようになりました。 そうです、皆さんはしっかりとしたルールを身につけるようになったことから、 それまでにも増して、個人的な技をさらに磨き、友だちとの連携を深めて、 サッカーの楽しさを味わうようになりました。
 皆さんは4月には小学校に入学、幼稚園よりももっともっと広い世界に飛び立とうとしています。 広い世界には、沢山の様々な規律(ルール)が張り巡らされていることでしょう。 すみれ幼稚園で学んできた経験を生かして、 これからもお互いにルールを守ってこそ得られる自由で充実した生活を作り出してくださることを心から期待しています。

[ページの先頭へ]
3月号

 この冬は、寒気が厳しい毎日が続きました。 どんなに寒くても子どもたちは外遊びが大好きです。
 そんなある日、5歳児クラスの女児二人が砂場でプールを作っていました。 小高く積み上げた砂山の頂点に小枝をさして、噴水。 さらに小山の両側から麓の大きなプールに流れ込む水路を作って、滑り台プール。 次に、この大きなプールから環状に流れる水路を作り、渦巻プールも二つ作りました。 その間、約30分。二人は黙々と作業を進めますが、 お互いにイメージを共有し合っているようで、わき目も振らずにどんどん作ります。 それぞれが工夫を凝らして、あっという間に夢のように楽しいプールの遊園地を作り上げました。 発想の斬新さ、楽しさはもちろんのこと、 いかにも噴水が打ち上げられて落ちる風情のある小枝を探し出して設え、 バランスの良い傾斜をもつ滑り台プールを工夫し、指先を使って丹念に水面の漣を表現する技は、 まるで職人さんがコツコツと仕事に打ち込んでいる姿そのものです。 もうすぐ卒園の5,6歳児ならではの砂遊びのきめの細かさ熟練の技に、しばし魅了されました。

[ページの先頭へ]
2月号

 去る1月24日(土)、本園ホールでヴァイオリンの小林倫子さんとピアノの中西るみ子さんによる 「親子で楽しむ音楽会」が開催されました。 第1曲目は、エルガーの《愛の挨拶》。会場を埋めた子どもたちとその家族約80名は、 小林さんのイギリス仕込みの素晴らしい演奏に心を奪われ、 たちまちのうちに美しく格調高いクラシック音楽の世界へと惹き込まれてゆきました。 次いで、モーツアルト、ラフマニノフ、バッハ、ドボルザーク、バルトークなどの作品が、 演奏者による暖かく優しい語り口の説明を交えて演奏されましたが、 マットの最前列に座り込んだ年少、年中児たちは、それぞれの作品の性格に適確に反応し、 ある時は緊張し、ある時はくつろいで演奏を楽しんでいる姿が印象的でした。 お二人の熱演、なかでもバルトークのルーマニア民族舞曲は圧巻。 子どもも大人も上質の音楽的音響に包まれる幸せなひと時を堪能いたしました。

[ページの先頭へ]
1月号

 明けましておめでとうございます。皆々様お健やかに良いお正月をお迎えのことと存じます。 本年もどうぞよろしくお願いいたします。
 お正月といえば、書にまつわる行事や慣習が多いことが思い起こされます。 年の初めにあたって、すみれ幼稚園が大切にしている書についてご紹介したいと思います。  もう2年前のことになりますが、つぼみ組の入会式の日に、 一人のお父様が幼稚園の玄関に掛けられている一幅の書にしばし見入っておられるのに気がつきました。 「書はお好きですか?」と伺いますと「とてもいい書ですね。 近くにお住まいになっていた著名な書家碧潭の筆です」とのこと。 私もご一緒にあらためて書を拝見いたしました。右から左へ「無尽蔵」と書かれた三文字は、 見れば見るほどにバランスがとれていて格調高く美しく、 中でも「蔵」の墨跡は所蔵するものの大きさ重さそのものを表現していて惹きつけられました。 「無尽蔵」という詞もまた、すみれ幼稚園から育つ、 尽きることのない人材資源をまさに象徴しているようで心を打たれます。 前園長の吉田悦子先生と書家の交流から生まれた素晴らしい書です。 皆さまにもぜひ心を留めてご覧いただきたいと思います。



[ページの先頭へ]
平成26年

12月号

 お誕生日会でのことです。給食を提供してくださっている林愛さんが子どもたちのお誕生日を祝って 心をこめてかぼちゃのビスケットを焼いてくださいました。 私も3歳児そら組で一緒にいただくことにしました。 子どもたちは、嬉しそうにクマの形のビスケットをじっと見つめています。 その形があまりにも可愛らしいので、子どもたちも私もしばし眺めていてなかなか食べません。 さて、みんなはクマの形のどこから食べるのでしょうか?頭からでしょうか?足からでしょうか? 同じテーブルのAちゃんが、まず頭をかじりました。 そして、それを逆さまにして「ウサギ!」とみんなに見せました。 みんなもウサギ、ウサギと楽しそうです。 しばらくして、今度はSちゃんが頭をかじったビスケットを横にして「お馬!」と叫びました。 そう、走っている馬です。
 三歳児の柔軟な想像力、発想の豊かさにただただ驚かされます。 手づくりのビスケットは、それはそれは美味しく、 この日も「美味しい、美味しい」の声があがりました。 アレルギーのある子どもも、 ない子どももみんなで美味しくいただけるおやつを作ってくださる林さんに感謝。 この日のビスケットはクラス全員完食でした。




[ページの先頭へ]
11月号

 年中チューリップ組の子どもたち数名が、床に広げた水色の模造紙の上に、 自分たちが作ったいろいろな魚をあちこちに置いて魚釣りに没頭しています。 いか、タコ、かに、あじ、さんま、かつお、それに名も知れないカラフルな魚たち・・・ 子どもたちの表情は真剣そのもの。魚の頭に付けられた小さなクリップに、 糸の先に付けた小さな磁石をそっと近づけ、釣り上げた時は大満足です。
 傍らにいた私は、そんな子どもたちを応援したくなって、思わず小さな声で歌いました。 「わたし魚やさんです〜/さんま〜あじ〜/いわし〜ぶり〜/タイにマグロ、 いかにひらめ/さーさ、みーんな買っておくれ」。 魚やさんの呼び声の抑揚とリズムそのものを生かした水野修孝さん作詞作曲の語り調の歌です。 魚釣りの子どもたちは一瞬私の歌声に耳をそばだてる表情を浮かべましたが、歌い終えると同時に、 担任の先生から「そろそろお片付けをしましょう」の声がかかりました。 子どもたちが魚を箱に戻しはじめたその時、一人の男児が、私と全く同じリズムでつぶやくように歌いました。 「タイにマグロ、いかにひらめ」。
 この部分は、魚の名称を2拍単位でゆったりと唱えていた前半から一変して倍テンポの1拍単位で歌い上げる箇所です。 この男児は、私が指さしながら歌う魚を興味深く見ながら聴き、 なかでも魚の名称を拍節単位に調子よく歌う部分をしっかりと受け止めて、 直ちに反復して歌ってみたくなったのでしょう。子どもが歌を口ずさみたくなる時の心の動き、 話し言葉が作り出すリズムについて深く考えさせられる一場面でした。

[ページの先頭へ]
10月号

 今年になって、幼稚園のそばにある素敵な花屋さんを見つけました。季節の花を探しに、花好きの幼稚園の先生二人とよくこのお店に出かけています。幼稚園の玄関に四季を彩る活花が飾られるようになったのにお気づきの方いらっしゃいますでしょうか?
 玄関の活花にいち早く気が付いたのは、大人ではなく子どもたちでした。「きれいね」「家の庭にも咲いている」「僕の家のアジサイはどんどん色が変わる」と、お友だちや先生とお花をめぐっての楽しい会話が始まりました。
 印象的だったのは、年中組のMくんの反応でした。玄関の西洋アジサイとリョウブの活花を正面からしっかり見て、しばらく無言。「うん、いい」と一言。そばにいらっしゃったお母さまが「この子はお花が好きなのです」と。
 秋になって、丸い黄緑色のイガがいかにもかわいらしい西洋栗とオレンジ色の鶏頭の花を活けました。Mくんは、西洋栗の愛らしさに惹きつけられたようです。私の耳元でささやきました。「あの栗、お飾りが終わったら僕にください」と。何日か経って飾りつけが終わったので、栗を新聞紙に包んでMくんにあげました。「有難うございます」と大喜び。さて、あの栗で何を作ったのでしょうか?
 先週、信州、湯の丸の山に出かけました。高く広い空に薄く白く伸びる雲、くっきりとした稜線を見せる山々、黄色く色づいた田んぼ、その景色に溶け込むように咲く芒や萩、吾亦紅などの山の花々、息をのむ美しさです。来週にももう一度出かけて、赤く輝く山の芒と吾亦紅を持ち帰り、子どもたちに山の秋を届けたいと考えています。

[ページの先頭へ]
9月号

 今春、影絵作家の藤城清治さん(90歳)の絵本(画本)『風の又三郎』が出版されました。少し大判のそれは美しい絵本です。一目見て、すみれ幼稚園の子どもたちに読んであげたい!と思いました。しかし、内容の深い宮沢賢治の童話を幼児にどれくらい伝えることができるか、とやや不安でした。
 できれば賢治の時代の日本の風景に近い場所で子どもたちに与えたい、という理由から、すみれ山荘でのお泊り保育の際に、読み聞かせをすることにしました。夕食前のひととき、絵本を開いて「少し昔のお話です。このすみれ山荘のように、緑に囲まれた村に、小さな小学校がありました。ある日、子どもたちが学校にやってくると、教室に、赤い髪の知らない男の子がいました」と読みはじめますと、子どもたちはシーンと静まり返り、絵本の世界に入り込んできました。読んでいる私が圧倒される集中ぶりです。「あ、あの高い木に子どもが登っている」「川に飛び込もうとしている」と声を上げる子どもたち・・描画の隅々までとらえて見逃しません。どうやらお話の筋よりも藤城さんの輝き躍動する絵に惹きつけられているようです。私は、ストーリーを読むことをとりやめ、場面ごとの絵から子どもたちがさまざまに想像する時間、間、をたっぷりとってお話のエッセンスだけを語り聞かせることにしました。食事の用意が整って、絵本の読み聞かせは途中で終わり、続きは幼稚園でということになりましたが、子どもたちは絵本の世界の余韻に浸っているようで、しばし沈黙の時が流れました。
 藤城さんが精魂込めて描き上げた絵が、確実に子どもたちの心をとらえたと感じるひと時でした。

[ページの先頭へ]
7月号

 いま「メロディの翼」という、室内楽メンバーの演奏に魅了されています。フランス国立管弦楽団と国立ラジオ・フランス・フィルハーモニーの有志のメンバーからなるこのグループは、東日本大震災で被災した学校にピアノを贈ろうという趣旨のもと、代官山ヒルサイドテラスのホールで、毎年1回、チャリティ・コンサートを開催してきました。私は、主催者の浅田さん、バイオリンの破魔さんご夫妻と親しくさせていただく幸運に恵まれたことから、演奏を聴く機会を得ると同時に、コンサートのライブ録音のCDも手に入れることができました。以来「メロディの翼」は、私にとって毎日欠かすことのできない音楽となっています。
 世界屈指のオーケストラ演奏者たちによる音楽は、磨き抜かれた演奏力と、個性あふれる表現力によって、他に類のない輝きと響きがあります。演奏者たちは、ある時は自分を主張し、ある時は相手を引き立て協調して見事な独自のハーモニーを作り上げています。CDを繰り返し聴くうちに、演奏者一人一人の心の動きや個性も聴きとることができるようになりました。印象的なのは、フランス音楽の伝統的なサウンドの中にあって、メンバー中ただ一人の日本人である破魔さんのバイオリン演奏に、日本人だからこその繊細で美しいニュアンスが感じとれることです。
 すみれ幼稚園の子どもたちの日常の生活にも、「メロディの翼」の演奏に共通するハーモニーを見出すことができます。それぞれに個性的な子どもたちが、ある時は自分を主張し、ある時は友だちを思いやり協調して、日々楽しい生活を作り上げています。自分の言葉で自由に話し、やりとりをする生活経験の積み重ねが、すみれ幼稚園独自の暖かい気風を馥郁と育てていると感じる毎日です。

[ページの先頭へ]
6月号

 梅雨入り前のさわやかに晴れた朝、年中クラスの子どもたちと近くの公園に行きました。 車両が行き交う街なかを整列して緊張気味に歩いてきた子どもたちは、 公園に着くやいなや放たれたように四方八方に駆けだしました。 4,5人の子どもたちが公園の角にある紅葉の樹に登りはじめました。 この季節の紅葉は、赤い新芽と若緑の葉の色のコントラストが見事です。 それに、いかにも子どもが登りやすい枝ぶり! 子どもたちはしっかり枝を握り、足場になる幹や枝を注意深く見極めながら登ります。 中ごろまで登った男児と女児が、周囲を見回し空を見上げて「わぁ〜、きれい!」と、 弾んだ声を上げました。
 柔らかい太陽の光が降りそそぐ樹を下から見上げますと、枝葉がきらきらと光に輝き、 うっとりする美しさです。 樹の高み、繁みの中から眺めている子どもたちが見る景色はもっともっと美しいに違いありません。
 恰好の枝ぶりを見つけて座り込み、渡ってくる涼しい風を受けて、周囲の景色を楽しんでいる子ども、 高みを目指して上へ、上へと登る子ども、樹の下に居る私を見下ろして声をかける子ども、いろいろです。 木登りをする子どもたちを見ていて、一人一人が違った楽しみ方をしていることに気がつきました。 初夏の心地よさをそれぞれに楽しむひと時、この幸せな時間を大切にしたいと思いました。

[ページの先頭へ]
5月号

 この間まで枯れ木のように見えた園庭の藤の木でしたが、春の陽ざしが明るさを増すにつれて、 若い芽をつけ、長い茎を伸ばして花芽をどんどん開き、 あっという間にたわわな花房となって棚いっぱいに広がりました。 その生育の力は驚くばかりです。今、園舎から見渡しますと藤棚のあたりは紫に煙ったようでとてもきれいです。
 4月に入園したばかりの3歳児たちも園生活に溶け込んでいます。  鯉のぼりが翻る園庭で、元気いっぱいジャングルジムによじ登り、かくれんぼうをします。 地面に白線で描かれたトラックをぐるぐる駆け回る子どももいます。 いろいろに遊ぶなかでも3歳児にとって最も気持ちが落ち着き、長い時間にわたって集中できるのは、 木漏れ日が心地よい藤棚の下で砂遊びをすることのようです。
 子どもたちは、それぞれにお気に入りの場所を見つけて、それぞれの遊びに没頭して満ち足りた表情です。 5月は、子どもたちも植物も活力にあふれる季節です。

[ページの先頭へ]
4月号

 美しい季節の到来とともに新学期がはじまりました。新入園児の皆さまご入園おめでとうございます。 在園児の皆さまご進級おめでとうございます。
 今回は、すみれ幼稚園の保育の特徴について少しお話することにしましょう。 1970年に入ったころから、時の文部省は、 教師指導型の一斉保育を子ども主導型の保育への転換する方針を打ち出し始めました。 当時は、ほとんどの幼稚園が、まだ一斉保育をおこなっていましたので、 幼稚園の現場も教員養成機関も新しい指導法の導入に戸惑うばかりでした。
 このような時に、すみれ幼稚園の創設者であり園長であった吉田悦子先生は、 いち早く新しい教育方法に関心を寄せ、教員たちを交替でお茶の水女子大学の現職研修会に派遣し、 この教育の導入に着手しました。 吉田先生は、すみれ幼稚園40周年記念誌の中で、教師主導型から子ども主導型への転換を 「教師によって『させられる』教育から、子どもが自分自身で『する』教育への転換」とわかりやすく述べておられます。
 今から45年も前から始まった、すみれ幼稚園の自由保育は、今も脈々と受け継がれています。 新学期を迎えて、私ども教員一同、すみれ幼稚園の良き伝統を継承し、 さらに保育の質を高めたいと気持ちを新たにいたしております。どうぞよろしくお願いいたします。

[ページの先頭へ]
3月号

 二回にわたっての大雪が降り、幼稚園の園庭は20pもの雪におおわれました。 雪に埋もれながらも紅梅は満開、バラの木は、いつの間にか沢山の赤い芽をつけています。そう、春はもうすぐそばまで来ています。
 先だって行われた子ども会で、パンジー組の子どもたちは《ドキドキドン!一年生》を力いっぱい歌いました。練習の時は発声に注意をしてきれいな声で歌いましたが、本番はそれぞれの気持ちを爆発させて歌いました。♪だれでも最初は一年生、ドキドキするけど、ドーンといけー♪ 小学校入学を目の前にして、一年生になる嬉しさと気負い、幼稚園を去るさびしさを振り切るかのように歌っていると感じました。子どもは、私たち大人以上に言葉に感情を込めて歌います。発声法など気にかけず、メロディー線よりも言葉に気持ちをのせて歌うこのような歌い方もいいなあと思いました。

[ページの先頭へ]
2月号

 先週、年長クラスの子どもたちがカルタづくりに取り組みました。 担任の島崎先生が午年に因んで馬のカルタ札を作ろうと提案、子どもたちは、 それぞれがイメージする馬の絵と言葉の札をB5サイズで作り上げました。 同じ馬の絵であるにもかかわらず、一つとして同じものはなく、どの絵も言葉も、 一人一人の子どもの思いが伝わってくる個性あふれるカルタに出来上がりました。
   お:お馬さん/元気に山を/走ってる
   き:騎士がお馬に/乗ってるよ
   お:おおしゃれなうまが/なわとびしてる
などなどです。壁面に展示されたカルタを何度も繰り返し眺めているうちに、 言葉を七五調に整えているものが多いことに気がつきました。
 子どもは、早ければ、一歳半頃から七五調にまとめて言葉を発することがあります。 それは、子どもの日常の生活の中に、 七五調で唱えられる伝承的な唱え言葉やわらべ歌が豊かにあるからと考えてきました。 今、パンジー組の子どもたちが、カルタを遊ぶ中で七五調という表現様式を見事に習得し、 これを用いて自由闊達に言葉を創造的にまとめているのを目の当たりにして、 七五調は日本の文化に埋め込まれている言語表現の創造枠の一つであるとの考えを新たにいたしました。

[ページの先頭へ]
1月号

 明けましておめでとうございます。皆様お揃いで良いお正月をお迎えのことと存じます。
 子どもの頃のお正月について、今も心に残っていることがあります。 それは、お正月には必ず、祖母が家族全員に新しいご飯茶碗とお箸を揃え、母親が新しい下着を整えてくれたことです。 物資の少なかった戦後もこの習慣は続けられました。 新しいご飯茶わんやお箸が並ぶお正月のお膳についたとき、母親に手伝ってもらいながら新しい下着に腕を通すとき、 子ども心にも新しい年が始まったことを感じ、新鮮で、きりりと締まった気持ちになりました。 その後、子どもたちが成長し、家族構成や暮らしが変化するにつれて、この習慣はなくなりましたが、 私は今もお正月が来るたびにこの習慣を懐かしく思い出します。 それは、新年のお料理をいただきながら、新しい下着に腕を通しながら、 祖母や母親の愛情を身近に感じた嬉しさが心に残っているからでしょう。 今では古くなってしまったお正月の慣習ですが、そこには日本の伝統的な慣習が用意した家族の心の交流のための装置が しっかり存在していたと感じるこの頃です。

[ページの先頭へ]
平成25年

12月号

 幼稚園の柚子の実が黄色く色づいてきました。いよいよ冬本番です。 すみれ幼稚園の冬といえば、なんといってもお餅つき。 今年も、子どもたちが指折り数えて待っているお餅つきの日が近づいてきました。
 前日に水に浸しておいたもち米50s(約3斗)を、当日、早朝から蒸し始めるのは、 吉祥寺の老舗、藤野米店の藤野さん。すみれ幼稚園のお餅つきにはなくてはならない方です。 お餅つきがはじめられた昭和41年以来、毎年一切の采配を振るってきてくださいました。 今年82歳です。もち米の蒸し加減、 お餅の返し方の按配や手順の勘所を押さえて指示を与える姿はこの道一筋の職人さんの風格があり、 お餅つきに参加する人々の気持ちを引き締めます。 一方で、藤野さんが仕事に合間に聞かせてくださるすみれ昔話は、人々の気持ちを和ませ、 なつかしい雰囲気を作り出します。つき手の主力は何といっても若いお父さま方。 返し手はこの道50年のベテラン、一紀先生。海苔やきなこのお餅を作るのはお母さま方。 湯気を立てている、できたてのお餅を頬張る子どもたち・・・すみれのお餅つきは、 日本伝来のお餅つき風景そのものです。すみれ幼稚園の和をつくり、 輪を広げてきたお餅つきをこれからもずっと続けてゆきたいものです。

[ページの先頭へ]
11月号

 間もなく4歳のお誕生日を迎えるKくん、 私を見つけると必ず近寄ってきて身体のどこかをトントンとノック、 素晴らしい笑顔を見せてくれます。
 よく晴れた秋の日、Kくんと園庭で出会いました。いつものノック。 私の手を持って「ジャンプして」と言います。 まずは私の両手にぶら下がってジャンプを3回ほど…だんだん高くなり、とても嬉しそうです。 今度は両脇を抱えて「高い、たかーい」。「先生の頭が見えた!」と大喜びです。高いところで、 いつもと違う景色が見えたのが新鮮だったのでしょう。繰り返すうちに、 「高い、たかーい」よりも両手をもってジャンプを、とリクエストするようになりました。 何度もジャンプをしたあと…ふいと私から離れて鉄棒に駆け寄り、 こちらを向いてしっかりと鉄棒を握ってぶら下がり、足をぶらぶら。 はじめは低い鉄棒で、次に高い鉄棒で…どちらも成功! にこにこ大満足の表情です。
 Kくんは私とジャンプを楽しんでいるうちに、モノにぶら下がるときの手や腕の力の入れ方を覚え、 鉄棒にチャレンジしたくなったのでしょう。子どもが主体的に学習し、 運動力を身につけてゆく過程を目の当たりにする感動的な一場面でした。

[ページの先頭へ]
10月号

 年中組の部屋に入りますと、すぐ右側の棚の側面に、 先生が布を貼って作ったちょっと背の高い樹が目に付きます。 その樹には、小さな昆虫たちが、まるで樹液を求めて飛んできたかのようにあちこちに止まっています。 せみ、クワガタ、カブトムシ、てんとう虫、バッタ・・・クラスの子どもたちが精巧に作り上げた美しい紙細工の虫たちです。
 ある日、見学者とともに2歳の女の子がこの部屋にやってきました。 女の子は部屋に入るなり床の上に落ちていた赤いてんとう虫をすばやく見つけて、 傍らにあったクレヨンでなぐり描きをはじめました。 すぐそばで粘土細工に熱中していた4歳の男の子がそれに気がつき、心配そうに私を見上げて、 これ○○くんが作ったの、と小声でつぶやきました。 そして、女の子の気がそれたときを見計らって、てんとう虫をそっととりあげ、 近くにいた、てんとう虫作者の男の子の側に置きました。 この男の子はカブト虫作りに没頭していて一連の出来事に全く気がつかない様子です。 すると女の子は、またそのてんとう虫を引き寄せてぐるぐる塗りをはじめました。 心配そうに見ていた男の子は、今度は近くの書架から女の子が好きそうな本を慎重に選んできて、 女の子に手渡しました。赤い金魚が泳いでいる表紙のその本は他のどの本よりも女の子にぴったりです。 ほんの5,6分の出来事でしたが、クラスの友だちだけでなく、年下の子どもの気持ちをも思いやり、 優しく頼もしく対応する4歳児を見て、私は心がふんわりと温かくなる思いがいたしました。 暖かい家庭と自由な幼稚園の環境の中で子どもたちの優しい心がすくすくと育っているようです。

[ページの先頭へ]
9月号

 今年のお泊り保育は晴天に恵まれ、パンジー組の子どもたちは世界遺産に指定された 富士山とその周囲の自然を心ゆくまで楽しみました。 大池公園から眺めた富士山は子どもたちが普段親しんでいる「山の向うに」の歌そのもの。 富士山に美しくたなびく雲を眺めながら皆で歌いました。 「山の向うに雲がある/雲の向うに空がある/空の向うに何がある/飛んで見たいな空の果て」。
 ミルクランドからの帰途は、バスの車窓から長い時間にわたって富士山を眺めることができました。 一人の男児が叫びました「あっ!雲が下にある!」。 その声で富士を振返ると...
「頭を雲の上に出し」の歌詞そのものの美しい富士山。 自然と呼応する子どもたちの感性に目をみはる2日間でした。

[ページの先頭へ]
7月号

 今年3月の卒園式のことです。制服をキチンと着こなして、緊張した面持ちで着席した卒園生たちに、 一年を振り返り、楽しかったことの数々を語りかけました。 遠足の野川公園で、広場に植え込まれた生垣の周りをぐるぐる走って追いかけっこやかくれんぼをしたこと、 子ども会のために皆でストーリーを考え素敵な舞台を作り上げたことなどなど・・・
話が「7月、すみれ山荘にお泊まり保育に出かけたとき、 山荘に向かう山道を走るバスの窓に突然現れた大きな大きな富士山!」になったとき、 それまでの静寂を破って、子どもたちはお互い顔を見合わせ、 口々に「びっくりしたなあ」「大きかったなあ」と身振り手振りをいれて話しはじめました。 バスの車窓に突然現れた富士山は、例えようもなく大きく美しく、 子どもたちも私もその場では言葉もなく、ただただ目をみはるばかりでしたが、8ヶ月が経った卒園式で、 そのときの感動がどっと言葉になってほとばしり出たようです。 大自然、富士山との遭遇は、昨年一年間の幼稚園生活の中で、 他の何よりも子どもたちの心に強く深く残る出来事であったことを知りました。

[ページの先頭へ]
6月号

 青葉若葉の美しい季節になりました。 子どもたちは心地よい自然の恵みを全身で受けとめて、 その喜びを表現しています。
 パンジー組(年長)の子どもたち24名が「こんな鳥がいたらいいなあ」と 個性あふれる鳥24羽を製作しました。 前々日に、担任の島崎先生が作った一羽の想像上の鳥からインスパイアされた 子どもたちが、それぞれのイメージを膨らませ、独創的な鳥を思いを込めて 作り上げました。 製作当日に体調不良になった子どもが、どうしても作りたいと 登園してきたほど子どもたちは自分の鳥作りに夢を広げたようです。 すばやく風を切って飛ぶ鶯と住み心地のよさそうな巣、つばめ、かわせみと その餌の小魚、色鮮やかなきつつき、目つきも鋭いハヤブサ、 おっとりしたフクロウもいます。姿がいかにも優雅な鶴や白鳥、 手の上に止まるセキセイインコ、二本足で立つ鳥、双子の鳥、花模様の羽や 長くひらひらした美しい尾をもつ想像上の鳥。 どれも魅力的で、本当にこんな鳥がいたらいいなあと何度見ても飽きません。 鳥たちはいま、保育室の空間を思い思いに飛んでいます。 たまたま見学に訪れた入園希望児のお母さまが保育室に足を踏み入れるなり 「なんて芸術的なのでしょう!」と感嘆の声をあげました。 子どもたちの芸術する芽が育っています。

[ページの先頭へ]
5月号

 幼稚園の藤の花が今年は格別に美しく咲き、いまが見ごろです。 入園したばかりの3歳児が藤棚を見上げて「あのお花とって」と言います。 水を入れたボールに藤やツツジの花びらを入れ、木片で混ぜて「色水、きれい!」と満足そうに見入っています。 4歳児は、お皿に砂を盛り、その上に花びらやチューリップの葉を刻んで彩りよく散らし「まぜご飯!」。 大人もはっとするほどの造形美を作り上げます。 子どもたちの日常の活動には、しばしば古代の人々の暮らしを髣髴とさせられるものがあります。 古代人もまたこんな風に、自然の素材を用いて工夫し、さまざまな生活用品を作り上げ、 その美しさに満足し感動していたのでしょう。 子どもたちが真剣に遊ぶ姿に、人間の美的創造的活動の原型を見出し、「すごい!」と思うこの頃です。

[ページの先頭へ]
4月号

 花の季節の到来とともに新学期が始まりました。新入園児の皆さまご入園おめでとうございます。 在園児の皆さまご進級おめでとうございます。
 幼稚園の創始者フレーベルは、「幼稚園」(Kindergarten)は「庭」(Garten)を教育の 原理とすると述べ、幼稚園における教育を次のように説明しました。
 経験豊かな洞察力のある庭師の配慮のもとにある庭では、植物は自然の恵みを受けながらすくすくと育つ。 幼稚園は、子どもたちが保育者の深い愛情と洞察力に包まれ、子どもたちに生来備わっている「生きる力」を 外界に働きかけながら自らを育ててゆく場所である。
 すみれ幼稚園の保育はこのようなフレーベルの考え方に基づいておこなわれています。 保育者は、子どもたちの内界にある「生きる力」を信じ、子どもたちがそれぞれの「生きる力」を 外界に向かって表現し、成長することができるよう環境を整え補助いたします。 すみれ幼稚園の自由な雰囲気の中で、子どもたちが主体的に外界に働きかけ成長する姿を 保護者の皆さまともども暖かく見守り育てたいと思います。